ネット銀行の選択で起こる不便
最近、多くの法人や個人事業主がコスト削減や利便性を求めてネット銀行を利用するようになっています。特に、住信SBIネット銀行はその利便性と手数料の低さから人気があります。しかし、この便利なネット銀行には意外な落とし穴があることをご存知でしょうか?
私自身が経験したのは、社会保険料の支払においての問題でした。法人用に住信SBIネット銀行の口座を開設し、社会保険料の口座振替手続きをしようとしたところ、悲しい事実が判明しました。この銀行は、社会保険料の口座振替対象金融機関として登録されていなかったのです(2024年8月現在)。
住信SBIネット銀行が使えない理由
住信SBIネット銀行の公式ウェブサイトや年金事務所に確認したところ、同銀行は現時点では社会保険料の口座振替対象金融機関に登録されていないことがわかりました。
このため、社会保険料を住信SBIネット銀行の口座から自動的に支払うことができません。法人用の口座を開設する際には、こうした対応状況を確認することが重要です。
では、なぜ住信SBIネット銀行は社会保険料の口座振替に対応していないのでしょうか?その理由の一つは、ネット銀行としてのシステムの構築が国の制度に追いついていない点にあると考えられます。多くのネット銀行が、既存の大手銀行と同様のサービスを提供している一方で、特定の手続きや振替にはまだ対応していないことがあるのです。
Pay-easy(ペイジー)の限界
社会保険料の支払いに問題が発生したため、次に頼ったのがPay-easy(以下ペイジー)でした。ペイジーとは、パソコンやスマートフォンでいつでも簡単に税金の納付や社会保険料の支払いができるサービスです。住信SBIネット銀行はペイジーにも対応しているため、これで解決できるだろうと思いました。しかし、またもや問題が発生しました。ペイジーには国への支払いと地方公共団体への支払いがあり、住信SBIネット銀行は地方公共団体への支払いにしか対応していなかったのです。
ここで、ペイジーの国への支払いと地方公共団体への支払いの違いを簡単に説明します。国への支払いとは、所得税や法人税、社会保険料など、国に対して支払う税金等のことを指します。一方、地方公共団体への支払いは、住民税や事業税、固定資産税など、地方自治体に対して支払う税金のことです。ネット銀行の中には、ペイジーで国への支払いができるものとできないものがあります。住信SBIネット銀行の場合、地方公共団体への支払いにのみ対応しているため、厚生年金や健康保険料などの国への支払いには未対応となっています。
ネット銀行を選ぶ際のポイント
住信SBIネット銀行の問題を受け、ネット銀行を選ぶ際に注意すべき点がいくつかあります。まず、口座振替を利用する予定がある場合は、その銀行が支払い対象となるかどうかを確認することが必須です。特に、社会保険料や税金の支払いに関しては、対応状況を事前に確認しておくことで、後々のトラブルを避けることができます。
現在、ネット専業銀行で社会保険料の口座振替に対応しているのは、GMOあおぞらネット銀行とイオン銀央のみです(対応金融機関はこちら)。この2行は、社会保険料の支払いにも対応しているため、法人用の口座を開設する際には、これらの銀行を選ぶことが推奨されます。ただイオン銀行は月額基本手数料が2,200円かかるため個人的にはGMOあおぞらネット銀行一択だと思います。
今後の対応予定
住信SBIネット銀行は、2024年10月から国への支払いに対応する予定です(プレスリリースはこちら)。
これは素晴らしいニュースなのですが、それまでの間は、他の銀行を利用するか、現金での振込を続ける必要があります。私の場合は、住信SBIネット銀行しか法人口座を作っていないため現金支払いとなりそうです(現金は管理が大変なので、極力出さないように運用していました…本当にイヤ…)。また、10月以降も、対応が開始されるのは確実とは限らないため、最新情報を確認しつつ、必要に応じて対策を講じることが重要です。
まとめ
ネット銀行は便利ですが、法人や個人事業主にとっては、利用する際にいくつかの注意点があります。特に、社会保険料や税金の支払いに関しては、対応状況を事前に確認することがトラブルを避ける鍵となります。住信SBIネット銀行のように、国税や社会保険料に対応していない銀行もあるため、口座開設の際には慎重な選択が求められます。これからネット銀行を利用しようと考えている方は、是非一度ご確認ください。
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